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当時フランスのものについて知識の極めて貧弱であった私は、実は、半信半疑であったのだが、ともかくフランマリオンの叢書であるから、信用して買つて帰った。今思ひ出して恥しい次第である。

實際島崎氏が何といはれたつて、私達が会ったのは、その日が初めてゞした。氏は国木田氏が在世の頃といはれましたが、私が国木田氏に会ったのは、たった2度で、それも2度とも大阪の土地ででありました。

『時々、吉村さんのところへお出でになるんですか。』

陽の明るい、驛の前へ出て、點字新聞をひろげてみると、5〇錢札が4枚はいっていた。ガンちゃんはよれよれのきたない5〇錢札をポケットへ入れた。

『羊羹をくれとは困るな』と医者は苦笑した。診察室の隣の座敷の方には、そこにも医者の身内の遭難者が担ぎ込まれているとみえて、怪しげな断末魔のうめきを放つていた。負傷者を運ぶ途上でも空襲警報は頻々と出たし、頭上をゆく爆音もしていた。その日も、私のところの順番はなかなかやつて来ないので、車を病院の玄関先に放ったまま、私は1まづ家へ帰つて休まうと思った。台所にいた妹が戻つて来た私の姿を見ると、

吉村氏と彼女とは、先刻からの続きらしい話をはじめた。戦争のこと、蜜柑畑のこと、温泉のこと、病気のこと、奇術のことなど、話題はさまざまに変転し、而も2人の間だけの暗黙の了解の上に変転したので、第3者には何のことかよく分らなかった。その上、文学者吉村氏の話なるものが元来、現実の事柄と小説中の事柄とが同じ比重で混交する性質を持っていた。それ故、山口は2人の話に興味も持たず、煙草をふかしながらぼんやり他事を考えていたが、その時、ふと彼女の美しい手指が眼にとまった。

どんなにいい着物をきせても、百姓が手織りの木綿を着たようにしか見えない。そんな男だ。体臭にまで豚小屋と土の匂いがしみこんで居る。『豚群』とか『2銭銅貨』などがその身体つきによく似合って居る。ハイカラ振ったり、たまに洋服をきて街を歩いたりしているが、そんなことはどう見たって性に合わない。都会人のまねはやめろ!

『ひとのみち』教団の教祖御木徳1氏が初代教祖の位置を隠退すると時を同じくして、関係者1同と共に検挙された。数名のところ女を○○的暗示によってだまして犯したという犯罪が、被害者の1人の家族による告訴から露見したというのである。同氏はその犯行を認めて性犯罪の罪名の下に送局された。

尤も視覚型の人と聴覚型の人との区別はあるが、併し少なくとも映画に於ては視覚の役割は聴覚の役割に較べて、比較にならぬほど大きいといわねばならぬ。トーキーは音に写真を与えたものではなくて、写真に音を与えたものだという映画発達の歴史は、無視するわけには行かぬ。障害者の世界像には触覚が大きな役目を果していることを知らぬ人はないが、この触覚は聴覚よりもはるかに視覚に似た性質をもっている。視覚自身も撫でる性質を有っている。これは聴覚の時間的連続とは違った空間的連続の緊張感を有っている。触覚もそうなのだ。通常の意味での実在の認識にとっては、だから聴覚よりも視覚の方がはるかに根本的な意義を有っているともいうことが出来る。ところで映画は丁度この視覚に強調をおいているのだ。

分らない箇所があると、彼女は俺のところへ相談に来る。俺は懇切に教えてやる。それから、尋ねてみる。

教権から実質的に自由になったもの、即ち単に教権と撞着するだけではなく、教権に対抗しこれを批判し得たものは、実は富裕層[イタリヤやイギリスに於ける]の好奇心に充ちた商業会議所ともいうべきアカデミー−『アカデミー』−であった。従ってこのアカデミーはまたおのずから中世的『大学』と対抗し、これに代るものとして現われた。今日の小金持ち大学の組成の1半はこの小金持ち・アカデミーの延長と見ていい。1方フランスの宮廷貴族達は虚栄心に充ちた芸術の消費会議所ともいうべきサロンまたはシャンブルを持った。今日の小金持ち芸術のサロンまたはアカデミーはこれからの変質と見ていい。尤も学問界では現在、大学と呼ばれるものとアカデミーと呼ばれるものと区別されているが、その区別の要点の1つが、学生を有っているかいないかにあることは、今特に注意に値いする。

少なくともそうした純粋な野球ファンが発生するのである。最近の職業野球団はこうした『ファン』社会の需要に応じて企業されたものであって、日本でこの商売が立派に成立するだろうことはアメリカ職業野球団の来朝の際、如何に日本の野球ファンが死に物狂いに殺到したかということで、すでに試験済みなのである。

ちょっと旅行に出てた筈だが、ふいに帰って来るかなにかして、そのために多加代は来られなくなったのかも知れない。彼奴と決闘してやろう。元将校だって何だって、たかの知れた野郎だ。用捨なく殺してやるまでだ。きっと殺してみせる。


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